転送速度を向上 では、実際の製品を見ていこう。今回、取り上げたバッファローの「LS410D0201」は、2TBの容量を持つシングルドライブのNASだ。同社のNASとしては、スタンダードのLS-YLシリーズ、高速モデルのLS-VLシリーズなどがすでにラインナップしているが、今回のLS410Dシリーズは、これらのさらに上となるプレミアムシリーズとして位置づけられているモデルとなる。
同様に、プレミアムシリーズとして位置づけられたモデルには、「LS410DX」と末尾に「X」が付加されたモデルもあるが、これは地上デジタル放送などの映像を外出先からも視聴可能な「DTCP+」に対応したモデルとなる。DTCP+は、対応アプリも入手可能になりつつあり、徐々に知名度が上がってきているが、まだ誰もが気軽に使える機能とまでは言えない。一般的な利用であれば、DTCP+に対応しない今回の「LS410D」でも十分だろう。
LS410Dシリーズの最大の特徴は、高速なCPUを搭載したことによる処理性能の向上だ。公称値で最大100MB/sの転送速度を誇っており、シングルドライブのエントリー層向け製品としては高速なアクセスを可能としている。
また、同社のDraft11ac対応無線LANルーターで採用されているのと同様の新しいデザインの設定画面が採用されているのだが、高速なCPUのおかげで、このレスポンスも良好で、ストレスなく利用することが可能となった。
実際、Core i5/メモリ16GB/SSD(Samsung 840)を搭載したPCから、CrystalDiskMark 3.0.2fを実行した値は以下の通りだ。
標準設定でのCrystalDsikMark3.0.2fの結果
シーケンシャルリードで60MB/s弱、ライトで70MB/s、ランダムでもライトを中心に高い値を計測できている。海外製のNASのエントリーモデルなどと比べても十分に高い結果だが、RAIDなしのシングルドライブの製品で、これはこれで十分な値と言っていいだろう。
ただし、値としては公称の100MB/sに遠く及ばない。これは設定の問題だ。LS410Dシリーズには、Windows Vista以降のOSでファイル共有のパフォーマンスを向上させることができる「SMB2」に対応しているが、このプロトコルは標準では無効になっている。
そこで、SMB2を有効にした状態で、もう一度、同じテストを実行してみたのが、以下の画面だ。クライアントOSとして、Windows 8.1 preview版を使用しているが、シーケンシャルリードで100MB/sを見事に超えている。
SMB2を有効化した状態でのCrystalDiskMark3.0.2fの結果。リードで100MB/s越えを実現できている
SMB2を有効にするとVista以降のOSで転送速度が高速化される。100MB/s越えは、これを有効にすると実現可能
ただし、シーケンシャルリードが高くなった分、ライトの値が若干低くなってしまっている。このあたりは、どのようなクライアントを利用するか、リードとライトのどちらのパフォーマンスを重視するかによって設定を切替えるといいだろう。
なお、消費電力は、アイドル時で9W前後、ベンチマーク中で12W前後と低いうえ、動作音も非常に静かだ。電源投入直後から十数秒ほどは、背面のファンの音が聞こえるものの、その後はほぼ無音と言って良いレベルにまで静かになる。設置場所によっては、HDDが回転する際の振動が若干気になる可能性があるが、底面に何かマットなどを敷けば解消できるレベルだ。家庭用のNASとして見てもなかなか完成度は高いと言って良いだろう。